サービスを売る

そういや Kindle リリースのとき、Bezos は「Kindleはワイヤレス接続が利用できて、寝室でも電車に乗っているときでも、本のことを思いついたら、60秒もしないうちに手にすることができる」てアピールしたんだったよな。

海外では着々と電子ブック化が進んでいる (suadd blog)
ユーザー視点でみると、端末がカラーだろうが小さかろうが(とりあえずは)関係なく、どれだけの読みたい書籍がどれだけ「簡単に」買えるかが重要なのであり、Kindleはこの二つを見事にクリアしています。

これは私の昔からの持論なんだけど、iTunes とか Kindle とかって、「コンテンツを売る商売」とは思わない方がいい。あれは「利便性を売るサービス」なのね。
例えば iTunes で新譜を買わなくても、友達からCDを借りてきて取り込めばタダだし、P2Pで流れてるファイルを拾ってくることもできる。でもそれってめんどい。どっちも現行の著作権制度では違法だしな。その点 iTunes なら、一曲あたり99セント払えば欲しい曲がすぐ見つかるしすぐ手に入る。この手間と時間を例えば時給換算すれば、金払ってでもすぐ手に入れられる方が経済的にもプラスだったりするわな。そう考えると iTunes の「単曲売り」てのは良くできてる。「この一曲だけ欲しい」ってときに、その一曲のためだけに手間と時間を費やすのと、99セント払うのとだったら、金払う人も多いわな。
コンテンツに金を払う消費者はどんどん減ってきてるし、これからも減り続けるぢゃろ。でもサービスのためにならみんな金を払ってくれる。特に、1日が24時間しかないってのはどんなに技術が進歩しても変わらない。その24時間を、TVやらゲームやら様々なコンテンツが奪い合ってる。その上さらに消費者に新しいコンテンツを売りつけて時間も消費させようなんて無謀。逆に、手間を節約して時間を生み出せるようなサービスを提供すべきなんだって。
imode と iPod が大成功したのは何故か。それってやっぱ、それまで有効活用しにくかった「移動中の時間」を、利用可能な時間へと転化するのに成功したからぢゃろう。日本人は電車で移動するから片手で吊革に掴まりながら使える携帯の imode が、アメリカ人は自動車で移動するから運転中でも聞ける iPod の PodCasing が、それぞれ人気になった。だからあの二つは単なる商品じゃなくてサービスなのだな。当然、商品だけにとどまらないサービスインフラがあったからこそ成功した。物作りとかコンテンツ立国とかもいいけど、消費者が金を払うのはサービスにだと私は思うちょるよ。