一夫多妻制と長生き

slashdot.jp の 男は一夫多妻制のほうが長生き の件。これさー、New Scientist の元記事についてのブックマークコメント にも書いたんだけど、一夫多妻制の社会では長生きする男性の方が孫を育て易いから長生きする男性の遺伝子が子孫を残しやすいような淘汰圧が働く ってことぢゃろ? 元記事ってそうとしか読めんと思うんぢゃが。
もともとこれを研究した Lummaa 博士って、「なぜ女性は閉経後も長生きするのか」つう性進化論的な問題に取り組んでた。閉経後は子供を産めないから、その後すぐ死んだとしても、遺せる遺伝子の数的には変わらないはず。ところが実際には男性より女性の方が長生きする。なぜぢゃろう。この謎に回答する仮説の一つとして「おばあさん効果仮説」てのがあって、それは、閉経後の女性はおばあさんとして自分の娘の産んだ子供つまり孫の子育てを手伝う。なので、長生きした方がしっかり子育てできるので、長生きする遺伝子が生き残りやすいよう淘汰圧が働き、閉経後も長生きするように進化したのだ、という説。
この説がほんとに正しいかどうかって何とも検証が難しいけど、Lummaa 博士は「女性におばあさん効果があるなら男性にもおじいさん効果があるはずだ」と考えた。そして、一夫多妻制の文化圏であれば、男性のおじいさん効果が強く出るので(男性1人あたりの孫の数が多くなるから)、男性の長生きする遺伝子を生き残らせる淘汰圧がより強く働く。結果として、一夫多妻制の文化圏の方が長生きする男性が多いはず、と。それを検証したのが今回の実験。
だから、日本人が突然一夫多妻制を取り入れても、それで男性が長生きできるわけではありませーん。そのまま何百年もすると、次第に長生きする男性が多くなっていくんじゃないか(Lumma博士の仮説によれば)、という話ぢゃよー。