青ひげ公の城

観てきたお。パリ国立オペラで「消えた男の日記」と「青ひげ公の城」の二本立て。渋谷オーチャードホールです。
http://www.ktv.co.jp/opera/program/02.html
パリ国立オペラは、17世紀のブルボン朝時代から続くフランス屈指の名門オペラで、今回初来日だそおです。つまりどういうことかと言うと、チケットが馬鹿高い。自分の経済力と相談した結果、一番安いE席にしたんですが、本当に三階席の一番後ろの一番端っこの席だった。それでも20,000円だもんなあ。S席とか60,000円以上するんだよな。
それだけ出しても観に行ったのは、この「青ひげ公の城」つうバルトークのどマイナーオペラが、滅多に上演されない演目で、これを逃すと次いつになるか全くわからん状態だったからです。もっと二流のオペラが安くやってくれるなら喜んでそっち観に行ったんだが…
しかし、さすがはパリ国立オペラで、と言うか多分これは演出を担当したラ・フラ・デルス・バウスというスペインの演劇集団の功績だと思われるんですが(バルセロナオリンピックの開会セレモニーの演出を担当した人たちらしい)、たいへん良いものを見せていただきました。
「消えた男の日記」は、もともとオペラじゃなくヤナーチェクのピアノ伴奏歌曲集だったそうで、それをオーケストラ用に編曲した上でオペラとして再構成して、今回初演だったんだそうな。曲は、うーむ、正直あまり印象が無い。しかし演出はなかなか大したものぢゃったな。テーマが「男と女の情念」なのだそうだけど、「男」(テノール)と「女」(メゾソプラノ)を取り巻いて(文字通り)蠢く人たちの表現がすごかった。うまく説明できんのだが。
「青ひげ公の城」の方は、これはバルトークの音楽と良く合ってたなあ。こっちも演出がなかなか斬新で、

  • 基本真っ暗な舞台の上で、青ひげとユディットにだけ照明を当てて浮かび上がらせる仕掛け。セットはほとんど無し。なんと「扉」すら無し。
  • 半透明なスクリーンを舞台上に何層にも降ろし、そこにいろんな映像を投影する仕掛け。

一番度肝を抜かれたのは、一番最初の二人が城に到着するシーンでした。真っ暗な舞台の一番奥が小さく開いて、そこから白い光が差し込んで、そこに立つ青ひげの影が長く伸びて、舞台一番手前に降りてる半透明スクリーン上に青ひげの影が映し出される(実際にはこっちの影は別の映写機から投影されてるんだけど)、つう演出でした。いやー見事だった。満足ぢゃよ。