バッテリー

携帯(SH903i)で移動中にTwitterやコトノハにアクセスしてるとバッテリーの消耗が早く、結構すぐ切れてしまうので、リチウム電池の外付けバッテリーを購入しました。

リチウム電池内蔵AC充電器 USB ACL-04W

リチウム電池内蔵AC充電器 USB ACL-04W

月曜日は新宿出張が入ったりして外を回ってたんで、携帯本体のバッテリーは割と早くお亡くなりになったんですが、その後このバッテリーからUSBケーブルで携帯につないで充電しながら使うことにして、結局3時間ぐらいほぼWebにつなぎっぱなしでも耐えました。なかなか実用になるな。

年寄りが語る戦後日本

なんか Tumblr でこの話が出回ってるみたいなので、年寄りがこれ読んで思ったことを書いてみるよ。

raurublock on Tumblr
日本軍は太平洋戦争で予想以上に手ごわかった。アメリカの政策として「金持ちを作らない/天才を作らない/エリートを作らない」三拍子を掲げ「日本の教育を変えて、今後は天才が出ないようにします」スローガンで作られた。
製作者には「洗脳研究の最高権威」「スタンフォード催眠研究所の創立者」である、ビルガードと言う人物が関わった。そのプログラムの要点は?

  • 白人に対する徹底的な劣等感を植え付けること。
  • アメリカは素晴らしい国だと信じ込ませる事。
  • 自分独自の意見を作らせない事。
  • 討論、議論を学ばせない事。
  • 受身のパーソナリティーを作る事。
  • 一生懸命勤勉に仕事させる事。
  • 目立つ人の足を引っ張る事。

これはイギリスの植民地だったインドで実践された教育方針のままだそうだ。

この話の信憑性については私では何ともわからないんですが、仮に本当だったとして、1980年代の日本がイケイケだった時期にはこういう話はほとんど語られず、だめだめになった今になってまことしやかに語られるってのは、どうなんぢゃろね。もし本当なら、高度成長期を支えた団塊の世代もこのプログラムで教育されてたってことになるんだろうし。三菱地所がロックフェラービルを買収した頃のアメリカ人は「アメリカも日本の教育を真似しないとヤバいぞ」とか真剣に言ってたんだけど。まあ「アメリカ人はバカだから」でQ.E.D.かもしれんがな。
真面目な話、高度成長期の終わり頃に生まれ、自分の国がオイルショックや公害問題を乗り越えてバブル絶頂期に至る過程をリアルタイムで見てる私としては、第二次大戦後の40年間って本当に奇跡の復興と言う他ないような、日本の長い歴史の中でも一番日本人が素晴らしかった時期、という認識でいるんですよ。明治維新よりも戦後復興の方が上。
個人的な話をしますと、私が幼稚園児の頃って、実家のテレビも白黒で、映るチャンネル数も少なく、謎の円盤UFOを見るために隣の家までテレビを見せてもらいに行ってた状態だった。もっと前の母親の日記を読むと、「給料日前はお米も無く、子供達がお腹を空かせて泣いている、自分も泣きたくなる」みたいな赤貧話が出てくる。三十数年前の話。それが次第に両親の収入も増え(当然共稼ぎ)、それには父親が5年ぐらい単身赴任してたり母親がメニエル氏病で片耳難聴になったりとかいろんなこともあったけど、まあともかく子供二人を東京の大学に行かせられるぐらいになった。そういう自分の生い立ちが、日本の70〜80年代の経済成長とリアルに重なるわけです。だから「素晴らしい」って実感があるんだろな。「50年代は良かった」と言う人は多いけど、私にとってみると「70〜80年代こそ素晴らしかった」と感じられる。
んで、80年代以降に生まれた人にはそういう実感が無いってのもわかります。そういう人にとって日本は、ほとんど下り坂な一方だったと認識されてるんだと思う。成功体験が無い。
もちろんそれは一面では利点であって、てのも年寄りは成功体験を持ってるからこそ変革に踏み切れない。ローマ人の物語II塩野七生が言ってるとおり、「年齢が頑固にするのではない、成功が頑固にする」なんですな。変革の担い手になるのは成功体験を持たない若い人なんでしょう。ただ今の日本を見ると、成功体験の無さが若い人にとって悪い方向に働いてるって気はするなあ。
私とかよく「だから日本人はダメだ」とかくそみそにけなしたりもするけど、心の底には「とは言っても日本人なんだから最終的にはうまくやってのけるぜ」みたいな自信があります。やっぱり塩野七生ローマ人への20の質問の中でこんなこと言ってます。「ローマ人は文化的にはギリシャ人に征服された」という言葉は実はローマ人の自分自身への自信のあらわれだ、と。同じように私は、「日本人は文化的にはアメリカ人に征服された」と言われても、塩野七生の描くローマ人みたいに「いやあ、ホント」とか笑い飛ばせる。でもそれは、戦後日本の成功の歴史を我が身で体験してきたからこそできることなのかもしれん。日本というものに自信が無かったら笑い飛ばせるわけが無いわな。
でも、これからの日本の進路を考える上では、日本人の大半がそういう成功体験を持ってない、自信の無い日本人なんだ、ってことを前提で考えなきゃいかんのかもしれんなあ。上のやつの reblog が流行るのとかってまさにそうだよなあ。ってなことを思いました。まる。

ところでビルガードって誰よ

GHQ洗脳説に出てくるビルガードなる人物が日本人を洗脳したのかどうかって話は結局「よくわかんねえ」が私の結論なんですが、調べてみてどこまでわかったかぐらいはメモとして遺しときますね。
まずビルガードじゃなくてヒルガードだってことがわかった。心理学のあらゆる分野を網羅し、心理学専攻学生でこの本を知らなきゃモグリだって言われる ヒルガードの心理学 の、あの E. R. Hilgard ぢゃった。
このヒルガードが戦後すぐ The United States Education Mission to Japan として来日したのは記録に残ってる事実です。ただし、何をアドバイスして何が実行されたかは信頼性のある資料が見当たらん。ネット上に出回ってる情報はどれも 洗脳支配ー日本人に富を貢がせるマインドコントロールのすべて つう本を根拠にしてるらしいんですが、その本の該当箇所の抜粋を読む限りでは

ヒルガード教授とミルトン・エリクソン博士は、まさに20世紀を代表する催眠と洗脳の専門家で、言ってみればその二人の力が間接的にオウム脱洗脳の成功の裏にはあったわけです。ところが、ヒルガード教授が没した2001年に、スタンフォード大学が彼の追悼文を発表しました。それをたまたま読んだ私は、驚いてしまいました。そこには、ヒルガード教授の功績のひとつとして、「戦後日本の教育の非軍事化のため」に GHQに呼ばれて来日したと書いてあったからです。
催眠学者が、なぜ日本の非軍事化のための教育に一役買わなければならなかったのでしょうか。私は、即座に理解しました。

とあって、どうも「ヒルガードが催眠と洗脳についての専門家」「そのヒルガードがGHQに呼ばれて来日した」という二点だけが根拠にされてるみたいだぞ。ヒルガードって洗脳や催眠に限らず心理学全般をカバーする大御所学者なんだがのう。彼が洗脳の専門家として有名になったのは50年代以降のことだし。おまけにこの本のamazonレビューでは「書かれた内容が小説なのか?それとも現実(リアル)なのかが判別が付かない」「参考文献が書いてないので、本書で事実として扱っていることがどこまでが事実なのかは分からないところがあります」とか書かれてる。小説て…
ヒルガードは1946年に The Enigma of Japanese Friendliness っつう論文を書き、日本人がなぜこんなに進駐軍に友好的なのかという問題を分析してます。ヒルガードの洗脳のせいで日本人がアメリカべったりになったんじゃなくて、日本人はもともとアメリカに友好的だったと見るのが正解だと私は思うがなあ。そしてそれをアメリカ人自身が驚いてると。ちなみにこの論文は欧米ではよく知られてて、そのタイトルをもじってつけたのがカレル・ヴァン・ウォルフレンの The Enigma of Japanese Power -- 邦題 日本権力構造の謎なんだそうな。
この Mission はマッカーサー宛に報告書を出し、それが Report of the United States Education Mission to Japan: Submitted to the Supreme Commander for the Allied Powers として出版されてるとこまではわかったんだけど、日本では入手困難っぽいなあ。仕方が無いので 実際にアメリカの下院図書館でこの報告書を読んだ人の日記 を読みますと、どうも漢字廃止を提言してたらしい。今の日本を見る限り、その提言は実現しなかったようぢゃの。id:KT49さんが書いてる「おせっかいな人たち」て言葉がこのミッションの姿勢を体現してると思われる。ああ、欧米人ってほんとにおせっかいだからなあ。キリスト教を布教してアフリカ人の文化を破壊したのも、本人達は「キリスト教の救いを知らないままいるなんて可哀相」と本気で思ってのことだったんだよな。
しかし同時に、この報告書については 実はヒルガードでなく南原繁が基本案を書いた っつう指摘も見つかった。南原繁と言えば中曽根康弘とともに昭和天皇退位を主張したけどGHQが結局昭和天皇続投を決めたので泣き言をこぼした曲学阿世の徒。この辺をつつくといろいろ面白そうではある。