レオナール・フジタ展

上野の森美術館で開催中の レオナール・フジタ展 に出かけてきました。平日の昼間だったのであんまり混雑してなくてラッキー。
レオナール・フジタ、またの名を藤田嗣治ですが、晩年フランスに帰化してカトリックに入信し、洗礼名レオナールを名乗ったこの画家、今年が没後40周年ということもあり、1992年に新たに発見された大作の修復結果も加えての展覧会となったそおです。札幌→宇都宮→上野→福岡→仙台の予定で全国巡回中。
今回の目玉はその92年にボロボロの状態で発見された「ライオンのいる構図」「犬のいる構図」「争闘I・II」の4枚で、展覧会では「80年ぶりに里帰り」と表現されてます。しかしこの「里帰り」て表現は、生前よく「私が日本を捨てたのではない。日本に捨てられたのだ」と語っていたフジタ本人的に見るとどうなんぢゃろうのう。今回の展覧会の解説ではその辺が完全にスルーされてたが。
私にとってはむしろ、カトリックに入信した後に描かれた宗教画の方が興味深かったがのう。イブの絵とかチャペルのステンドグラスとか本当に綺麗なんだけど、日本を捨てたフジタが心の拠り所として求めたのがカトリックへの宗教心だったんじゃないかという気がしてのう。
まあ美術館側としては「こんなに大変な思いをして4枚を修復したんだぜ」的な自慢話をしたがるのはわからんでもない。修復過程を描いたムービーも流されてて、なんかギャラリーフェイクを思い出した。
あと、いろんな絵に猫がいっぱい出てきたのも素晴らしい。しかし晩年の宗教画には猫が全然出てこなくなるてのも何か心に引っかかるものがあるのだよな。