フレーム問題

フレーム問題について私はこれとだいぶ違う考え方をしてます。私なりの結論を先に言うと、人間は先に結論を決め付けてしまうのでフレーム問題に陥らない

なぜ人は「フレーム問題」に陥らないのか (id:pikarrr)
では、なぜ人は「フレーム問題」に陥らないのか。これに対する一つの答えは、人は解を求めて (認知) から、行為をするわけではなく、認知とともに行為している、ということだ。

人間には、認知するかしないかのうちに解を決め付けてしまい、その解を確認するために認知してる、という行動がよく見られると思うのだけど、いかが?
これは大昔 NIFTY の某フォーラムで使った比喩なんだけど、人間がウサギを見たときどう認知するかという話。ロジカルな人工知能として考えるとこういう流れになるよね。

  • 耳が長い
  • 白い
  • ピョンピョン跳ねてる
  • 知識DBと照合すると、これはウサギだ

ところが実際の人間の認知過程てのはどうもそうじゃないっぽいんです。むしろこういう感じ

  • これはウサギっぽい
  • ウサギなら耳が長いはずだ→OK
  • ウサギなら白いはずだ→OK
  • ウサギならピョンピョン跳ねてるはずだ→OK
  • やっぱりウサギだ

最初にどうやってウサギと決め付けるかですが、これはニューラルネットがうにゃららでよくわからねえ。まあロジックじゃないんですよね。なんか不思議なパターン認識によってる感じ。ロジックじゃないからフレーム問題を回避できる。人はそれを「直感」と呼びます。
人間はこうやってフレーム問題を回避してるわけですが、この方式の問題は、よく間違えることです。人はそれを「思い込み」と呼びます。
例えばこの画像。たぶんこの日記を読んでる人の99%は、この画像を「愛し合っている男女の絵」と認識するはずです。まあそうとしか見えないよね。

ところが、この絵はちょっと前にいろんなとこで紹介されたから知ってる人も多いと思うけど、幼い子供はこれを「イルカが跳ねてる絵」と認識します。そんなんぜってーわかんねーって思うわ。これが「思い込み」の力。最初に結論が出ちゃうと、それ以外の認識ができなくなる。
んでね、ウサギやイルカは視覚認知のケースだったけど、論理的な推論においてもそういうことってよくあるんですよ。自分ではロジカルに考えてるつもりなんだけど、実は最初から結論ありきの思い込みがあって、ロジックはそれを補強してるだけ、ってやつ。これにはまっちゃうと、ロジカルな議論ができなくなって困ったことになります。でもネット上の議論ってたいていそうだよね。みんな最初から結論ありきで、それが間違ってることをなかなか認められない。id:pikarrr さんの今回のフレーム問題の話も、「認知系には限界があるはずだ」という結論が最初にありきで、それにフレーム問題という題材を後付で当てはめてたりしませんか?
もちろんこの人間の思考様式は、フレーム問題を回避するために必要な代償ではあります。実際、私はそういう「最初に直感で結論を導く」能力が弱いもんだから、結論を出すまでの時間が人より遥かに長くかかる。これは主に「相手の感情を読む」ようなケースで私にとって大きなペナルティとなってます。特に異性の相手だな。デートが終わってから帰りの電車の中で「ああ、あの時ああ言ったのはそういう意味だったのか!」と論理的に納得することがなんと多かったことか。
しかし、たまにはそういう結論ありきの態度から離れてみて、フレーム問題の迷宮に迷い込んでみるのも良いのではないでせうか。そうやって、自分の結論を見直してみるとか。