残業代

日経新聞の紙の方のやつって読んでないので実は元記事を読んでないんだけど、原田泰氏が「残業代は管理職が払え」という記事を書いたらしい。「部下の残業を減らせばその分を管理職がボーナスとしてもらって良い」制度にすれば残業が減るだろう、と。
たしかに目指すべき方向としては正しいような気はするけど、そのためには吉越浩一郎氏のコメント(要購読手続き)にもあるとおり、「残業代が生活費の一部になっていてどうしても残業をしたいという人たちがいる」という問題をクリアせんといかんよね。ホワイトカラー・エグゼンプション問題のときも、労働者側から挙がった不満の声って「残業が増える」のではなく「残業代がゼロになる」てのが大半だったもんな。
重要なのは「残業時間を減らすこと」なのか、それとも「残業代を減らすこと」なのか。前者だったら、労働者の収入を確保しつつ残業時間を減らす方法を考えようって話になるので、時間でなく成果で評価しようって話になるわな。評価方法は難しいけど、まったく無理ってことは無いと思う。しかしもし経営側が後者を考えてるんだとしたら、労働者側の要求と相容れんだろうなあ。
ついでに成果主義について言えば、労働者側が「今期はこれを達成します」という明確な目標を自分で設定できないと、たぶん機能せんわなあ。あるいは経営側から「今期はこれを達成しろ」と言われたときに「それだったらこれだけの報酬をいただきます」と返せるような。それって「労働者個人が自営の請負業者として立ち回れるようになる」という話で、突き詰めていけば成果主義ってそういう話なんだろうと思う。でもそういう自営的なスキルを憶えるのってかなりめんどいので、それを憶える手間がいらないってのが旧来的な日本的終身雇用の利点だったと。してみると今後は、プロスポーツ選手みたいにそういう成果・年棒交渉を専門に行う代理人が、通常の労働市場にも浸透していく、という話なのかもしれん。いやまじめにそういうことやってくれる人が欲しいんだけど。私の年収の3%ぐらいで請け負ってくれん?