アイという猫

20年以上昔、鹿児島の実家で猫を飼ってました。
当時実家の近所には廃屋が多く、野良猫が多数住み着いてました。その中であんまり人を恐がらない三毛猫がいて(母がフニャと命名)、うちにもよく遊びにきてた。それが子猫を三匹産んだので、アイ・マイ・ミーと名前をつけてかわいがってたんですが、最終的に雌猫のアイだけがうちに居着いて飼われることになりました。そんな名前をつけるぐらいだから私が中学一年生の頃の話。
当時は猫に避妊手術をするという習慣も無く、外飼いだったアイは毎年妊娠して子猫を産んでました。すぐ死んじゃう子が多かったけど、育った子もみんなそのうち旅に出ていなくなってました。見掛けはかわいらしくて人間の言うこともよく聞いてたアイですが、実はかなり女王様気質で、他の猫(時として犬)が気に食わないとすぐ怒って猫パンチで攻撃してたので、たまらず逃げ出した子も多かったと見られる。ハンターとしても優秀で、よく雀を捕ってきて子猫に食べさせてました。なんだけど、出産するたびに体重が落ちてってた。
私が大学に入学したとき、アイに「夏休みに帰ってくるからそれまで元気にしてるんだよ」と言って上京してきました。まだ6歳ぐらいだったんだけど、毎年出産してたせいですでにかなり体力が落ちてた。
夏休みになって私が帰省した来たとき、家の前の道路でアイが死んでました。私が第一発見者だった。たぶんそのちょっと前まで生きてたんだろうなあ。もうちょっと早く帰り着いてれば生きてるうちに会えたのに、とは今でも思います。20年経っても、元気な頃のアイの姿がときどき夢に出てくる。
ペットはほぼ確実に飼い主より先に死にますよね。ペットを飼う以上避けられないことだわなあ。すっごく悲しいけど。でも今まで飼ったペットのことはみんな憶えてるし(猫12匹+インコ2羽+金魚4匹+ザリガニ3匹)、この先も環境さえ許せばまた猫を飼いたいと思ってます。