Scientific American を読んでたら、こんな記事が載ってました。

Today's Trivia (Scientific American)
Q: The hammer and the stirrup are common names for two out of the three small bones in our inner ears. What is the third called?
A: The anvil.

この three small bones in our inner ears てのは耳小骨のことぢゃよね。日本語だと槌骨・鐙骨・砧骨と呼ばれます。下図はWikipediaから引っ張ってきた砧骨の絵。
砧骨
てのは知ってたんだけど、これ読んで、砧って何? という疑問が。槌==hammer, 鐙==stirrup てのは日本語と英語の対応も取れてるけど、砧ってanvilなの? そういや布を叩く台だって聞いた記憶が薄っすらあるけど、そもそも何で布を叩く必要が?
つうわけで調べてみた。昔の日本人の衣類は麻や楮から取ったものが大半で、糸の繊維が太くてごわごわしてて、当時はアイロンも無かったので、木の台の上に衣類を載せて槌でとんとん叩いてごわごわを均し、艶を出す、という作業があったんだそうです。この台が砧だったんだな。
だけど、紡績産業が発達して、木綿から機械紡績した細い糸で織った衣類が普及するようになると、ごわごわも無くなり、皺取りにはアイロンが使われるようになった。ということで、砧ももはや見ることはありません。砧公園とかの地名に名残を留めるのみです。
ちなみに砧骨が砧に形として似てるかっつうとそういうことは全然無くて、ただし槌骨の方を最初に名付けてしまって、槌に叩かれるものということで砧という名前を選んだらしい。英語圏だと hammer and anvil と言うぐらい槌と金床はセットで語られるものなので anvil になった。医学用語としてはラテン語Incus という語が使われてて、これも金床という意味。日本語だと、耳小骨が命名された当時は、まだ砧が一般的だったのかなあ。