プラネタリウム

つくばエキスポセンターでプラネタリウム見てきました。ここのプラネタリウム自体は技術的にも優れもので、大きな星空を綺麗に眺められて良かったのですが、プログラムの方にややうーんという思いがあったので、日記に書こう。
休日のプログラムは四つ、季節の星空解説・子供番組(ポケモン)・特別番組(星の王子様)・一般番組とあって、id:rikkya/id:xavi6名古屋県民と一緒に見に行くならポケモンの一手だけど、今回は時間の都合もあって一般番組にしたのだった。一般番組のタイトルは「月への道〜アポロからかぐやへ」というもの。まあタイトルから想像はつくけどJAXA広報目的プログラムという色合いが強い。
番組の構成から行こう。オープニングで月の映像にかぶせてドビュッシーの「月の光」をBGMに使うのはまあ常套とは言え良い出来。問題はそのあとのダイアローグで、「月周回衛星かぐや打ち上げの立会いで種子島までやってきたJAXAの女性研究者(セリフから20代半ばと目される)と男性研究者(やや年長)が、打ち上げの興奮を引きずったまま種子島の綺麗な星空を眺めて星座の話を始める」のだけど、実際にそういうシチュエーションを想像するとちょっとそれはいかがなものか。
その後しばらく星座に疎い女性研究者に男性研究者が秋の星座の見つけ方を教えるというまあプラネタリウムらしい内容が続いたのち、スプートニクからアポロに至る米ソ宇宙開発競争の歴史(ケネディの演説とか)、そして本題のかぐやへと。かぐやの科学的意義やその成果(周回軌道上から撮影した月面写真とか)がいろいろ紹介され、この辺はプラネタリウムよりは映画館向きかのうてな点を除けば普通に見て順当な内容なのだけれど、どうもJAXAの宣伝という意図を強く感じてしまって。
数年前にH-IIAロケット打ち上げ失敗が相次いだ頃って組織内部の構造的な問題がいろいろ言われてたけど、最近はそういう声も滅多に聞かれなくなった。でも問題が解決したのかってえと、私は結構疑問視してる。たまたま上手く行ってるからだけでないかい。失敗したからって叩くのも良くないけど、上手く行ってるから忘れるってのもどんなもんか。かぐや打ち上げ成功手放し絶賛のプログラムを見てると、置き去りになった問題を糊塗してるんじゃないかと勘繰る気持ちがもくもくと。
しかし本当に私がうーんと思ってしまったのは、JAXA内部の問題に対してじゃなくて、そういう思いをプラネタリウム上映の最中に持ってしまった自分自身の方にある。宇宙科学ってやつは素粒子物理と並んですっかり巨大プロジェクトと化し、金だのマネジメントだのと厄介で泥臭い話に翻弄されるようになってしまった。小は研究者間のセクハラから、調達や業者を巡る問題、それに、まさにこういう広報的プログラムでもって予算獲得への地ならしをするってのも研究を本当に進めるためには必須な活動だよな。で、ロマンティックなプラネタリウムの中でそういう下世話な話を思い浮かべてしまう自分が、やっぱり現実の泥にまみれてしまったのかのうと。あるいは、どっぷり首まで泥につかってるくせに「純粋に科学を研究する」っつうイデアの世界の観念を捨てきれずにいる自分が何とも中途半端だなあという思いもあるのかもしらん。
とか言うことを星空や月面写真を見ながら思ってしまったわけですよ。次行くときは星の王子様の方にしようか。

月の光 : ドビュッシー / ピアノ名曲集

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