また恋愛について

男のズルさってのは確かにあって、その一つが「滑り止めを確保した上で別を狙おうとする」心理だなと思う。自分に恋人がいて、でも別の女の子が好きになった場合に、まず今の恋人と別れてからチャレンジするかって言うと、そうする男は10人中1人いるかいないかだろう。たいていは、とりあえず今の恋人はそのままキープした上で、となる。新しい子とうまくいくかどうか確証が無いわけだから。今の恋人と別れたのに結局新しい子ともうまくいかなかったら丸損だよな、って打算が働く。失敗したら何食わぬ顔をして元の鞘に収まると。
一方、うまくいった場合に今の恋人との関係をどうするかってのは、実に難しい。多くの男は「あの子とうまくいったら今の恋人とは別れるつもりだ」と思って行動する。しかしそれはハイパー甘っちょろい読みで、いざ本当に別れにゃならん段になるとたいてい決心が揺らぐ。いわゆる「優しい」男ほどそうなるのも当然と言えよう。うまく別れられた例というのは、たいてい新しい子からの働きかけがあった場合なんじゃないか。形としては略奪愛になるな。
まったくドロドロした話だけど、それが人間というものかもしれないと思いつつある今日この頃。運が良ければそういうドロドロした面を見なくて済むんだろう。自分と相手が出会ったときにたまたま両方ともフリーだったら、綺麗なところだけを見て済ませられる可能性が高くなる。でもタイミングがちょっとずれて、相手に恋人がいる期間だったら。もう少し早ければまだ恋人がいなかったし、またもう少し遅ければ別の原因で恋人と別れてたし、どっちにしても問題無かったのかもしれない。でも同じ人同士が出会うのでも、たまたまタイミングが悪いと、ドロドロに足を突っ込むことになってしまう。巡りあわせだなあ。
人間、同じところをぐるぐる回ってるように見えても、完全に同じところに戻ってくるわけじゃなくて、螺旋を描いて少しずつ上にのぼっていく、ものなのだそうだ。恋の行方が同じような結果に終わったという点では同じところに戻ってきたように見えるかもしれないけど、自分の中で何かが変わるのであれば、良い恋愛経験になり得る。それは、場合によっては「○○しちゃダメだとわかった」的なネガティブな教訓だったりもするけど、別の場合には新しい視野が開ける類のものだったりもする。そういう何かを、人に恋することの中から掴み取れると、素晴らしいんじゃないかと思う。