賞賛本位制経済

シナ千代さんとこのこの話、実は似たようなことを最近考えてた。

Webはモノ作りにいかに関わっていけるのか Part2(1は省略) (シナトラ千代子)
なんだかネットを支持するひとには「マス(市場)に認めらるか、そうでなければダメか」の二択から「いかにして個人の作り手が経済的収入を得られるか」へとシフトするような考えでいる(というかそこがスバラシイと言ってる)ひともいるようだけど、おれはそれよりも「だれかに支持されるか、否か」の二択へとシフトしていくような気がするのです。一般に経済的な仕組みが入ると評価がややこしくなるから、たとえばはてなスターとかブクマみたいなもののほうが評価の仕組みとしては幅が広くて普及しやすい、と考える。

今から20年ぐらい前の ASCII Net で、Carp.さんが「ザブトン本位制経済」てのを言ってたことがあって、まあパソコン通信時代の話だけど、たぶんその頃からネットってものにはそういう性質があったんだと思う。賞賛はマズロー階層の中でも結構上の方だし、強い動機付けになるわな。
しかし昨日私が思ったのは、この手の賞賛が通貨として流通するみたいな感じの体制には落とし穴も結構あるんじゃないかという話。具体的に何が落とし穴なのかってとこまではまだ深く考えてないんだけど、一つには本家に去年 duke が書いた お金のいらないネットの世界 って話があるわな。また、良い物を作れる人のところに自然と賞賛が集まるのは確かだけど、たいした物を作れない人が賞賛を得ようとして「賞賛を得易い環境」つまり閉鎖的なタコツボ的コミュニティに流れていくという可能性もある。車輪を再発明する人たち同士で褒めあうコミュニティとか。お金ってのは流通量が一定だけど、賞賛だとはてなスターボタンを押しさえすればいくらでも増やせて、それがいろいろ悪さをしそうな気もする。あと、実は賞賛本位制経済が一番良く機能してるのは、オープンソース界じゃなくてチャイルドポルノ界だという説もある。
でも逆に面白い可能性もあるな。はてなスターみたいに賞賛の流れが公開されてると、bot でそれをクロールして、有向グラフとして集計できるわな。それを分析するといろいろ面白いことがわかるかもしれない。「この辺はお互い身内で褒めあってる集団だな」とか。Google Rank 集計技術とかリンクファーム検出技術とか応用すると楽しそう。そうするとそのうち賞賛オプティマイゼーションとか言うのも出てくるのか?