ヒューリスティクスと差別

この話は前から同じことを考えていたので、ちょっと書いてみる。

「差別・偏見は常に絶対悪」という考えも危険 (id:andalusia)
そもそも、私たちは社会で生きていく中で、意思決定を早めるために推論(ヒューリスティック)を利用することが非常に多いです。学校での試験の問題みたいに決まった答えがあるわけではない問題に対して、ヒューリスティックな手段は有用で不可欠です。しかし、ヒューリスティックな手法は、そもそもバイアスと裏表です。偏見を全く持たずに生きていくことはできないし、もし仮にそんな人(ヒューリスティックな手法を放棄した人)がいたとしたら、無知で無能でクズ。アホでバカ。低脳ワーキングプアだと私は思います。

すんません、無知で無能でクズでアホでバカで低脳ワーキングプア、に近い id:raurublock です。
いや、真面目な話、私はこの手の「論理によらないヒューリスティックな推論」が弱いんですよ。そしてそれは、私の持っている先入観・偏見・差別意識が他の人に比べて少ない、ということともイコールです。「偏見を全く持たずに生きていくことはできない」というのは全くその通りなんですが、じゃあなんで私が少ない偏見量でもそれなりに生きていられるかと言うと、普通の人よりも頑張って「ヒューリスティクスによらない論理的推論」を行ってカバーしてるからです。
例を挙げましょう。「人を身なりで判断することは良くないことだ」という話があります。ところが現実社会では、身なりで判断するほうが素早い行動につながります。特に商売人とかだとね。金になりそうな客には接客時間を多くかけ、そうでない客はさっさと追い返す。差別と言われようとその方が業績が上がります。もちろん実際には「身なりが悪くても金持ち」と言うケースもあるわけで、そういうケースではこのヒューリスティック推論だと損をします。しかしそういうケースは全体として少ないので、全体としては得になる。
一方私はそのように考える傾向が小さく、というのも「人を身なりから判断する能力に劣る」という弱点があるためなんですが、そのため「この人は金持ちかもしれないし貧乏人かもしれない、だからどっちだったとしても対応できるように両面戦略で行こう」と考えます。そう考えると、ヒューリスティックな推論能力が弱くても、論理的な推論で結構な部分をカバーできるんですよ。
もちろん、ヒューリスティクスに大きく頼る人だと、最初に金持ちか貧乏人かを決め付けて後はその決めつけに従って行動するので、思考量も準備もいろんなリソースも半分で済みます。一方私のやり方だと倍かかる。結果的に金持ちにも貧乏人にも対応できない中途半端な結果に終わることも多々あります。これを対人関係の面から見ると「気がきかない」「空気が読めない」という話になりますな。
しかし、空気の読めない私から言わせると、「なぜ人はこうも最初に決め付けたがるのだろう?」というのが素朴な疑問です。上の商売人の例だと、確かに決め付けた方が接客がスピードアップして業績が上がるので、その方が合理的です。ところが、スピードが大して重要でない場合でも、世の中の人は「最初にヒューリスティックな推論による決めつけ」をしたがります。しかもその推論結果についてよく見てみると、かなりの確率で論理的に間違っている。私みたいに両面戦略の上に論理的思考を積み重ねればいいのにー。とか思ってしまうのは、私が空気読めないからなんだろな。
あとついでに「差別は絶対悪か」という話。善悪とか言うのもまたヒューリスティックな概念ですなあ。なので、論理的に考える私は、善悪という考え方はしません。じゃあ差別は何がいかんのかと言うと、「誰かに迷惑をかけている」んですよ、事実として。
そして「ヒューリスティックな推論が差別を生む」という命題と合わせて考えると、「我々は誰もが大なり小なり差別をしている → 我々は誰もが誰かに迷惑をかけている」ということになります。我々は誰もが加害者である。これは重要な視点だと思います。上の商売人の例だと、商売の業績は上がるし、それによって社会にも貢献するのでしょう。しかし、身なりの悪い人に迷惑をかけたという加害者的立場がそれで帳消しになるかと言うと、そんなこたあ無い。
そう、これも空気読めない私から見ると不思議なことですが、世の中の人は「自分が加害者である」と自覚することに強い反発を持っています。「あいつの方が悪い→だから自分は悪くない」という、論理的に考えるととてもおかしな推論(これもヒューリスティクス?)を使って自分を正当化しようとします。これが差別問題を悪化させてると思うんだがなあ。まあ良い悪いってのはヒューリスティックな概念だからこの際どうでもいいや。けどね、「自分も加害者である」という視点は、加害者が悪かどうかは別にして、事実として認めなきゃ。
と思うわけですよ。みんなが「自分も加害者である」という視点を持てば、まあ差別が無くなるとは言わんけど、今よりは改善するんじゃないかなあ。

野菜ジュース

実は野菜ジュースが結構好きです。栄養という面では普通の野菜に比べて大きく劣るのは確かだけど、普通に美味しいぢゃろ。ただし食塩入りに限る。
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デルモンテの野菜ジュースは朝鮮人参が入ってて独特の苦味があるとこが好き。蔘鷄湯の朝鮮人参を齧ったときと似たような感覚がある(あれよりずっと薄いけど)。
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デルモンテの次に好きなのがカゴメのやつ。こっちはニンニクが入ってるところが美味しさの秘訣ぢゃろな。