雇用のゲーム理論

うううむ。ゲーム理論の論理展開としては間違ってないけど、前提がなんとも非現実的。1年後に100%の確率で解雇することが前提になってる。1年後に絶対解雇するという構えで正社員の求人を出す経営者なんて、そりゃいるわけないぢゃろ。もし1年後の解雇確率が100%より下がれば、経営者の損益分岐点も当然変わってくるよね。

解雇規制のゲーム理論 (池田信夫 blog)
図の左端は経営者Aの選択肢で、正社員を雇うかアルバイトを雇うかを判断する。1年間雇えば、正社員は300万円の賃金を得て企業は100万円の利益を得るが、アルバイトは200万円の賃金で50万円の利益しか生まないとしよう。次に1年後、景気が悪くなって企業が正社員に解雇を申し渡したとする。正社員 Bがそれを受け入れれば、利得は右上のように(A、B)それぞれ(100万円、300万円)で確定する。

あと、1年後に100%解雇って前提でスタートしてるから、「社員育成のための投資とその回収」っつう考え方も当然オミットされてる。たぶん池田信夫氏の頭の中には最初からそういう考え方は無いんだろうなあ(自分がNHKに育成してもらったとは露ほども感じてないっぽいし)。
まあでも、解雇規制を厳しくするより、「解雇しない方が経営者にとってメリットとなる」ような制度設計の方が、上策だと思います。例えば社員育成に優遇税制とか設けて経営者を誘導し、迂闊に解雇すると育成投資が無駄になる、的な状態に持っていくとか。池田信夫氏の前提は非現実的だけど、経営者誘導策を考える上ではこういうゲーム理論的思考ってのは意外と役に立つかもしれん。