著作権登録制度

この法案の主旨には基本的に賛成だなあ。著作権者不明のリソースの二次利用促進につながる。"Orphan Art Bill" って名前自体、「二次利用しようにも著作権者不明で誰に許可をもらったらいいのかわからない『親無し子』芸術をなんとかする法案」て意味ぢゃろもともと。

Orphan Art Bill_アートを蹂躙する最悪の法律 (吉川文代の日々雑感)
現在の世界法では、誰が何か作品を作ったら、自動的にその作者に著作権が与えられることが保証されています。ところが、Orphan Art Billが可決されれば、アートを創造した作家に著作権が与えられるのではなく、その作品をしかるべき登録事務所に登録した人間にその著作権が与えられることになります。三十年以上の過去に遡って、すべての芸術的作品、一遍の詩曲、一枚のスケッチ、一枚のスナップ写真にいたるまで登録をしないとその著作権が認められず、もし他者によってその作品が先に登録されてしまうと、作った本人にすら無断使用が許されないことになります。

著作権制度が18世紀に生まれた当初は完全な登録制で、ギルドに献本して登録しないものには著作権が認められなかった。いつのまにか自動的に著作権が付与されるようになってしまったけど、登録制の頃の方が良かったと思う。何の気無しに撮った一枚のスナップ写真にまで著作権を認めるのはどう見ても行き過ぎだろう。例の裁判傍聴記事と同じぢゃよ。撮った写真のうち芸術的価値があるかどうか自分で判断して登録するかどうかを決めるべき。
ただし、著作者本人以外でも登録できるという点については確かに問題が大きいので、そこの審査をどうするかが鍵だと思う。その点で法案には修正が必要だろう。私は審査を厳しくする方向に一票だな。そのせいで「著作者本人でも証拠不十分のため登録できない」ような例が出てもOKだと考えます。

追記

「孤児作品」を救済する方法 (池田信夫 blog)
今回のアメリカの法案は、これを改善しようとするものだが、政治的妥協の結果、「著作者をできるかぎり探し、見つからなかったら使ってよい」という中途半端な規定になってしまった。これではいい加減にさがすほど使いやすくなり、著作者の知らない間に他人に作品が使われてしまう。レッシグもいうように、これを解決するには現在の著作権法の無方式主義を改め、登録しないと著作権が発生しない登録制にすることが根本的な解決策だ。これは日本でも、林紘一郎氏などが提案している。アメリカ自身が、1978年まで©マークがないと著作権の発生しない登録制だった。

おお、そっちが新しかったのか。いや、Lessig がこの「できるだけ探す」規定に反対してるのは聞いてたんだけど、それが(Lessigの主張が通って)覆って登録制になったのかと思ってた。逆だったのね。