アフター0 (岡崎二郎)
アフター0 3 ショートショートに花束を (ビッグコミックス)
- 作者: 岡崎二郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1992/03
- メディア: 単行本
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この話における死後の裁きでは、「生前、3人以上を殺したことがあれば地獄行き、3人未満なら天国行き」という基準が適用されています*1。
主人公は「俺は生前一人も殺してないから大丈夫だ」と安心するのですが、閻魔大王は「お前は3人分殺しているから地獄行きだ」と宣言します。実は、「体を壊しかけていた部下に残業を命じた」ことが後に部下が病死する原因の一つになったため「0.1人分の殺人」とか、そんな風に「直接死に至らしめなくても誰かが命を落とす要因を作った」ことも「殺人」とカウントされる、というのがこのショートショートのミソ。主人公の場合は、そういう1人未満の殺人が積み重なって3人分となり、それで地獄行きとなってしまったんですね。閻魔大王の宣告も、主人公を悪人として裁くと言うよりは、「すまんが3人から地獄行きと決まっておるのだ」と申し訳なさそうな感じ。
ラストシーンで、地獄に引き立てられていく主人公が「そんなんじゃ人殺ししてないやつなんていないじゃないか!」と叫ぶと、閻魔大王が「さよう、誰もが人を殺しておる」と答えます。確かにその通りだと思う。誰もが間接的に人殺しに関与している。なるだけそれを少なくする努力ってのは重要だけど。
*1:実は記憶に頼って書いてるので、ひょっとしたら4人だったかもしらん